■文章力を向上させる秘訣は万年筆にある



文章力を鍛える方法の一つに書写があります。幾人もの著者やライターがお勧めしているため、その効果はお墨付きです。私も10冊以上の書籍を書写してきました。

「10冊以上も書写してきた」と言うと、驚く人もいるかもしれません。もしかしたら、私が努力家に見えるかもしれませんね。しかし、私はさして努力したつもりはありませんし、これからも名文があれば書写していくつもりです。

なぜ、苦もなく書写を続けられるのか。その秘密は、万年筆にあります。

私は万年筆で書くのが好きです。特にペン先から伝わる振動や摩擦音が心地よくて堪りません。書写なら、何も考えずにペンを走らせることができるため、それを十分に堪能できます。本当はずっとずっと書いていたいのですが、手が疲れてくるため、やむなく筆を止めているのです。

今私は語彙を広げるために、毎日、漢字練習帳に漢字を書いています。これも当然、万年筆で書きます。漢字練習をし始めて早2年半ですが、もし万年筆で書いていなければ、ここまで続かなかったことでしょう。どうやら私は、勉強意欲よりも「万年筆で書きたい」という気持ちのほうが勝っているようです。

私の例のように、“道具がやる気を高める”ことは、ほかにも通じるはずです。何か続けたいものがあるなら、道具にこだわってみてはいかがでしょうか。道具を使うことが快感となれば、しめたものです。

もし、道具を選ぶコツがあるとすれば、「愛着の湧く物」がいいでしょう。
たとえば、紬(着物)や革靴などがそうです。使うほど色あせたりしますが、それが味わいとなり愛着を生みます。万年筆も書けば書くほどペン先が筆圧に馴染むため、より一層愛おしくなり、文筆欲に駆られるのです。「愛着の湧く物」を「育てる道具」と言い換えてもいいでしょう。自分の成長とともに道具も育てば、きっと楽しく続けられるはずです。




万年筆の魅力について書きました。



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